少しずつ雲の断片が集まってきて、暗く重く大きな雨雲が形作られていく。今夜はきっと一晩中雨が降るのだろう。でもまだ静かだ。窓から見える庭は絵のなかの庭のようにまるで時間が止まってしまっている。それでも時折、何処からか小鳥ー四十雀や鶫ーが夢と夢の間に降る霧雨のように降りてきて、黄色と緑の葉がアラベスクのように織りなされる木の枝に僅かな間戯れ或いはただ憩ってまた空ー絵の額縁の外ーへと飛んでいく。