火事のような夕焼けに
黒い影となった遠くの山々
荷馬車を引く痩せた驢馬が通り過ぎて
木枯らしだけが残った


そんな枯野で独り星々を待つ
深く土の中で眠る死者達と共に


冷えてゆく身体
青ざめた花が歌う
掠れた声の鎮魂歌
あらゆる感情
あらゆる思い出
白い吐息を散らして
ガラスの鳥が飛び立てば


あっという間に
天と地の炎は凍り付いて
きらきらと氷の破片が煌めく
藍色の垂れ幕に全てが覆われた
瞼を閉じたときに感じる
幾千光年彼方からのまなざし
しかしわたしはもう居ない


小さな船が流れ出した
何処までも広がる黒い海に
誰も乗っていない
小さな船が流れ出した