2021-05-19 幽霊 詩と小説 餓死した団子虫と 微睡む羊歯の上に 跳ね落ちる雨の音は 寂しい残り火のように 靄に包まれた夜を 決して乾くことのない 髪の毛のように 引き摺り歩いているのは 朽ちた洋館を抜け出した 顔の見えない幽霊 あるはずもない 月の見える丘を探して 枯れたマーガレット畑の前を 朦朧と通り過ぎていく