2019-07-13から1日間の記事一覧

七月十三日の日記「マゾヒズムとリアリズム」

マゾヒストの書く小説は異様な熱気を孕む事が多い。マゾッホの毛皮を着たヴィーナスを読みながらそれを感じている。それは谷崎潤一郎の小説を読んだときに感じた熱気と同質のものである。その作品の熱気はそのまま作者自身の熱気なのだろう。牡牛のような興…

七月十二日の日記「小説家の自殺」

小説を書くという事は言うまでもなく唯一人の孤独な作業である。彼はたった一人で太陽を造り、星々の運行を設定して、地球を誕生させて、そこに木を植え草を植え、動物や昆虫を繁殖させ、人類を誕生させ、村を造り街を造り、そこに繁多な登場人物たちを置か…