2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

たんぽぽ

灰色の陰鬱な空から蒼い雨が音もなくかりそめの言葉が傘に生まれては消える ひらひらひらひら 黄色い蝶をみたたんぽぽの思い出が雨の垂れ線を縫って俯く人の群れを縫って僕は蝶を追った ひらひらひらひら 泥まみれの水溜りには破れたサーカスのちらしビルの…

永遠

天使の骸が転がる蒼い草原の片隅で崩れた石柱に凭れ夢うつつと微睡むわたしのまぶたをシャボン玉の光がやわらかに撫でる山が見える地平線見渡せるかぎりに永遠がみちていた わたしの靴の前の赤詰草の花の上にしじみ蝶がとまる二対の小さな羽をゆっくりと開い…

日記09/16『思考の断片』

太陽は眠らない。片時も。一瞬も。けっして死なないこと、それが彼に与えられた罰。永遠に続く拷問。彼は何の罪を犯した?人間に動物に生命にその炎、意識、言葉を教えた罪。美しい沈黙に世界を創造した罪。 エロティシズムは私と融合した他者、それを見届け…

夜の鳥の卵

ああ、神様、ああ、私の神様。どうかどうか私に翼をください。何も見えない何も聞こえない何も感じられないこの永遠の井戸の底から私を解き放ってくれる二対の羽根。黒く輝くその翼を広げて空に輝くあなたの瞳の中へと私は今すぐにでも飛んでいきたいのです…