2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

移転のお知らせ

これからは下記 私の中の万華鏡 に考察、詩、小説、日記、写真、絵、 あらゆる私と非私を置いていこうと思います。 このはてなブログに載せた文章もいずれ全部移す予定です。 今はそれよりももっと古いものを置いている状況です。 良かったら私の中の万華鏡…

神の実在を証明するために焼き殺された魔女たち。荘厳な絶対の光の塔の裏に差すどす黒い影。思考するほどにはっきりとしてくる非思考の世界。顔のない人魚の顔。 認識、言葉の世界の住人である私が言葉によって認識を深めれば深めるほど私の認識は本当の現実…

本当の海は太陽の熱にも月の光にも汚されていない純粋な海は焼けるほど冷たくそして見えない。氷はその本当の海に限りなく近い。見えなければ完璧だろう。その透明な氷、真空が片時も離れず私の周りを覆っている。初めて目にしたものを親だと思い込む家鴨の…

人魚は別に男でも良いのだ。かつてはそうだっだろう。男も女もみんな人魚だった。平安の貴族たちは男でも化粧していたし彼らは恋の熱情を歌にしていた。源氏物語の光源氏のことは言うまでもない。或いはアマゾンやアフリカで今でもいにしえの生活を守り続け…

火事のような夕焼けに黒い影となった遠くの山々荷馬車を引く痩せた驢馬が通り過ぎて木枯らしだけが残った そんな枯野で独り星々を待つ深く土の中で眠る死者達と共に 冷えてゆく身体青ざめた花が歌う掠れた声の鎮魂歌あらゆる感情あらゆる思い出白い吐息を散…

ヴィンセントと書かれた空色のバケツのような鉢植え。たくさんの向日葵が挿さっている。まるでそのヴィンセントという鉢植えの中に金色の朝日が溢れ始めてそこから零れ落ちた光の塊一つ一つが大輪の向日葵の花になっているような。しかしこの向日葵たちはど…

花から花へと青い羽根の蝶の群れが黄金の鱗粉を振り撒いて遥か地平線の山々が見渡せる広々とした草原の上を舞っているにぎやかな白い羊たちはみんなあの空の上へ行ってしまった深々と草々の波に埋まって仰向けに横たわるわたしは赤い傷だらけの両腕を平らに…

生け贄の人魚

男は男らしく、女は女らしく。キリスト教以降の西洋の文明はそうして完全に人を精神と感性に人間と人魚に見る人と見られる人、二つの対極に分離させることによって石そのもののような強力で揺るぎのない精神、観念の世界、科学精神、合理的自我「私」を確立…

人工世界の行き着く果てにデカダンス、腐敗と退廃の香り芳しいその甘美な果実は実る。退屈な楽園に飽き果て膿んだ天使たちが白い雲と雲の青い裂け目に映し出す地獄の夢。重篤な倦怠に沈んだ瞳で彼ら精神者たちはその見つめる青い泉が深紅の色に染まる落陽そ…

精神の血に対する嗜好。精神が精神である限り精神は血を求め続ける。あの黒いマントを羽織った吸血鬼と同じように絶えず新鮮な生き血を摂取していなければ精神の持ち主は干からびて息絶えてしまう。精神は「私」はその誕生時から悪(罪)を内包しているのだ…

精神と人が言うとき男であれ女であれその精神の持ち主は人間(厳密に言えば大人)だろう。猫の精神とか蜻蛉の精神とか人間以外の生物に対して人はその言葉を使わない。魂という言葉なら彼らにも使う。そのことからも精神と魂が違うのだということが伺われる…

彼は神経症を挫折した芸術作品とみなし、神経症患者を挫折した芸術家とみなしていた。神経症は方向をあやまった想像力とエネルギーの発露である、と彼は書いていた。花や実のかわりにわたしは強迫観念と不安を結実したのだった。 ーー原麗衣訳 「アナイス・…

その青い花々、あるものは高くあるものは低く、幾層にも高低差をつけて群れ咲いているその青い花々は一輪一輪が真上から覗き込んだ視界の見えない底から湧き上がってくる青く小さな水の塊のようで、まるで私は海そのものが湧き上がってくるその亀裂の深淵を…

ゴッホが弟テオにその発見を語った真の宗教「自らが花のように生きた日本人」言い換えるならそれは「私」自らが美しい形、花や人魚(艶やかな着物は花と人と魚の融合を思わせる)になろうという思想を生きた人々である。それはまた同時にゴッホ、彼が篤く信…

若さというもの

若さとは形への意志、その強さであって言い換えるなら「私」が何者でもない(形がない)ことの深く痛切な自覚である。だから人はその形を手に入れたと「私」が何者かになったと自覚ないし誤解したときからその若さを失う。要するに老い始める。小林秀雄が老…

枯れた野に 寂しい鴉が一羽居て 捨て鉢に冷えた土を掘っている 虫を探しているのか それとも違うものを探しているのか わからない ただ乏しい光のなかで 影を喪った俺の影のようなお前が 虚しい土塊を放るたび 膿みきった白い冬の空に 黒い花火が打ち上がる

氷の下のマーメイド

白い靄のような鏡の曇りが晴れて淡い月光の射す仄か暗い浴室を背に裸の少女が立っている肩まで伸びた黒髪は浜辺の海草のように濡れて古い写真の中の人間のようにまるで微動だにせず長い睫毛の下の円い瞳は遥か彼方を見つめている氷の下のマーメイドまだあど…

三島由紀夫の「仮面の告白」には強烈なインパクトで記憶に残る印象的な場面が少なくはないが、なかでも今特に思い出すのは主人公が子供の頃、クレオパトラに扮装し家族の者を絶句させるところである。極度に人工的な人間、形のない幽霊のような、つまり観念…