人工世界の行き着く果てにデカダンス、腐敗と退廃の香り芳しいその甘美な果実は実る。退屈な楽園に飽き果て膿んだ天使たちが白い雲と雲の青い裂け目に映し出す地獄の夢。重篤な倦怠に沈んだ瞳で彼ら精神者たちはその見つめる青い泉が深紅の色に染まる落陽その時を待っている。愚かな天使は堪えることが出来ずその裂け目から大地へと落下する。ほら、もうすぐ雪が降るよ。しかし天使は楽園に居るから天使なんだ。地上での彼らは堕天使、或いは魔王と呼ばれる。雪は狼に化身してその真っ白な毛を返り血に染める。そうでなくてはあっという間に黒い土へ溶けていくだけだ。だから天使よ、楽園に帰れ。その翼が溶けないうちにあの泉の前へと帰れ。この大地は君が思い描いたような君にとって愉しい所なんかではない。悲しいけど君の現実は楽園でも大地でもなく白い雲と雲の裂け目、あの泉の上にしかないんだ。