2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

氷柱花

Ⅰ.夏 川のせせらぎが聞こえる 背の高い葦の壁に囲われた 大きな砂岩の祭壇の上に 横たわるひとりの少女 清潔に煌めく白い綿の服は 翼を休めた白鳥のように 長い睫毛の瞼を閉じて仰向けに 手足は力なく無防備な様子で 少女は蒼天へ昇った龍の火球 崇拝する彼…

青い鳥の詩片Ⅲ

過去、twitterに投稿した詩の数々。 古いものから順に置いていきます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 太陽への階段 十三の階段 ひとり孤独に 裸足で上がる 俺は今何段目? 段々と眩しい視界 少しずつ肌も焼け ああ…

青い鳥の詩片Ⅱ

過去、twitterに投稿した詩の数々。 古いものから順に置いていきます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 蒼白い指の先が震えるのは不安と胸の高鳴りとその両方と。 小さな肩に重いヴァイオリン乗せているのは小さな少…

青い鳥の詩片Ⅰ

過去、twitterに投稿した詩の数々。 古いものから順に置いていきます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 目を覚まして窓を開けると 夜の殻がひび割れていく音がした。 それはガスバーナーで赤い林檎を焼くような音で…

日記08/24『信じるもの』

「結局、君は何を信じているの?」幾度となく尋ねられた問い。私はその度に答えに窮する。そう問われるのと同時に私も頭の中で問い掛けている。「私は何を信じているのか?」でも答えは出ない。いや出ているのだ、明確に。私は何も信じていない。絶対の神も…

日記08/23『青い部屋』

中学生の頃、私の家族は団地の六階から白い壁の一軒家へと引っ越して、私は初めて自分だけの部屋というものを与えられた。畳三畳ぐらいのそのひどく狭い部屋の壁に私はペンキを塗って青一色にした。天井も同じように青く塗ったのだけれど、所々元の壁の白い…

日記08/21『小さな貝の夢』

オーロラの海を漂うくらげの群れ。穏やかな音楽のような光の輪郭に包まれて、心優しいくらげたち、瞳のない海の妖精が水の上へ、真っ白な太陽の光のなかへと溶けていく。僕はそんなくらげたちの上昇を深い海の底から見ている。まるで糸の切れてしまった凧を…

日記08/20『太陽の祭壇』

赫々たる日光。今日も噎せ返るほど太陽を浴びた。道を歩けば何処でも陽に当たる。夏は木の陰にすらその版図を拡大していた。うなだれて俯き蒼白いビルの建物のなかへ、夏の外へと足早に避難していく人間たち。しかし私はというと止せば良いのに昼の休憩の時…

日記08/19『青について』

青、それは一体何だろう。 遠くから見ると青色で近付くと段々薄くなり手の平で掬うと透明だ。遠くから眺める透明の色、それが青だ。青色は距離。不可能との距離の色。青い薔薇は不可能を表す。見えないものが見える。近くからでは見えない。遠くからだと見え…

遠い夏

昼を過ぎて陽射しはまた更に強くなった。街全体に白い瘴気のような陽炎が立ち昇り、歪んだ視界の彼方に蜃気楼のような高層ビルが浮かぶ。太古の威光を取り戻した太陽は禍々しく空は悲劇的な青さに輝いている。絶滅した恐竜の最後の一匹が斃れたときもきっと…