2020-10-31から1日間の記事一覧

眠る木に 鳴く虫も絶え 更ける夜 月華の琴音は 氷に映えて

揺り籠

揺り籠、ただの籠ではだめだ、赤ちゃんは落ち着かない。彼は泣いてしまう。揺れて、左に大きく揺れたらその同じだけ右に大きく揺れて、右に小さく揺れたらその同じだけ左に小さく揺れて、規則的な幅で揺れていなくては赤ちゃんは落ち着かない。赤ちゃんが求…

秋の池

高い空の雲間から 衰えた陽の光が淡く 藻の深い古池へと降り まどかなる蓮の葉を 宴のあとの皿のように さみしくきらめかせ 微風にそよぐ水面には いにしえの天女たちが やわい裳裾を水脈ひいて 遥かなる遠い笑い声が 水底に微睡む鯉たちを やさしくうつつへ…

ひよどり

雲は厚く 降り始めた 雨の御手先が 枯れた野原を濡らす また冷えた秋の風に ひよどりが狂おしく 禿げた木の上で鳴いている