まぼろしの夕焼

灰の花びらを
指間から撒いて
あてもなくひとり
靴も履かずに歩いた
風のない野原の終わりは
真っ黒な貌の林だった
樹冠に色づく葉の群れが
赤い火の粉を散らし
悪い女たちを焼いていた
恨みや苦悶や嘆願や
膿んだ空が終わりを吸って
また更に膿んでいった