2020-11-08から1日間の記事一覧

夜は夜などではなく それは真昼の暗い影 宇宙は暗黒などではなく それは太陽の暗い影 電灯も消され 鎧戸の閉め切られた 密室の完全な暗さ それすらも影なんだ いったい何の? その光のない密室を 見つめる者の眼差しの光 彼の意識が暗い影をつくる 考えても…

風もなく 鳥降る庭の 葉はみやび 空の彼方に 雲は黒くも

すべての色が集まると白色になる。白は色の充溢であり飽和、色の自殺である。言い換えるなら、赤色であれ緑色であれ、色というものは白、完全な光そのものの欠損である。完全なものは目に見えない。感じ取ることができない。だから神は私の瞳に見えない。感…

少しずつ雲の断片が集まってきて、暗く重く大きな雨雲が形作られていく。今夜はきっと一晩中雨が降るのだろう。でもまだ静かだ。窓から見える庭は絵のなかの庭のようにまるで時間が止まってしまっている。それでも時折、何処からか小鳥ー四十雀や鶫ーが夢と…

月もなく 星もなく 数えきれない蝙蝠が さかしまに眠り込んで ぶら下がっている夜の空 輪廻の悪夢にうなされる 苔に覆われた老木たちの 甘く苦しい湿った嘆息や 足の裏に砕かれる 枯葉の甲高い悲鳴に混じって 草間から響く鈴虫たちの声が いにしえの朝から流…