想像力

 想像力が人間を生の現実から遠ざけ、想像力が生身の人間を現実から守っている。或る一つの街とは或る一つの人間集団が造り出す共同的想像力の結晶である。
 全ての欲望は想像力によって人間が生の現実から遠ざけられていることから生じている。想像力は生身を人間を現実から守るが、それは何枚も服を重ね着しその上に更に頑丈な鎧を身に纏うようなもので、想像力の力が強まる程に人間は生の現実から遠ざかる。生の現実から遠ざかった人間は当然生の現実に生きている感覚を失い、生の現実に触れたい、想像力の服や鎧を脱ぎ過ぎてて裸になりたいと欲求するようになる。それが欲望と呼ばれるもののすべての根源である。