高い枝から低い枝へと尾長の鳥が飛び降りる。後ろにはまた尾長がいてその後ろにも。黒い頭が黒い頭に続いて空色の長い尾を振り振りぽんぽんと飛び降りる。街ではだいぶ前に姿を見なくなったが彼らはここに居たようだ。功刀’(くぬぎ)と小楢(こなら)の樹の林。私がいつも散歩する道だ。その散歩をしばらくの間さぼっていた。枯れ葉がすっかりと朽ち葉へと変わっている。柔らかいその絨毯に足音が吸い込まれていく。今日はよく晴れているというのにこの林は仄かに暗い。いつも仄かに暗い。しかし林の脇を流れる小川の水面には裸の枝の木漏れ日が余すことなく降り注ぎ絶えず形を変えるその水脈をまるでうねる蛇の鱗のように真っ白な光で神秘的に煌めかせ‥ただそれでも彼女の薄い鱗は時々透けてその冷たい胃の中に沈んでいる煉瓦色の石や藻に覆われた流木やきらきら光るガラスの破片彼女の宝物を私に垣間見せてくれた。そうか君も同じか。きらきらと光る物が好きなんだ。あの白い鉄柱の上で物思いに沈んでいた鴉のように。形のないものは形あるものを好む。影は光を好む。私も同じだ。ほら広げた両目に空色の尾長の羽根が落ちてくる。