至高の瞬間、それはその瞬間のための瞬間であり、如何なる未来にも隷属しない純粋な行為の瞬間である。鳥は歌う。何のためでもない。何の意味を求めて或いは伝えるためでもない。歌うために歌うのである。思考も歌へと昇華したとき、その思考の持ち主はあの黄金の王座へ復権する。思考のための思考。何のためでもない。何の意味を求めて或いは伝えるためでもない。考えるために考えるのである。そのとき思考は真理を求めるための道具奴隷から何にも隷属しない王様へと昇格する。意味、答え、真理の方こそ彼にとっては反対に考えるための道具奴隷になる。同時にそれは未来の道具奴隷としての今現在からの脱却、革命である。考えるために考える。彼にとって考えることと今を生きることがひとつに重なったのだ。