彼の見続けているものが彼にとっての現実になる。絶えず動き変化するものを見続けている者にとって絶えず動き変化するものが現実となる。そんな彼にとって動かず静止したものというのは非現実であり彼はその非現実に心が落ち着かず耐えることが出来ない。だから彼は常に動きと変化を求める。それが得られないとき、今度は彼の心自体が動き変化して止まらない。慌ただしい情緒不安定な人間がこうして出来上がる。ひとは見続けているものに支配され、やがて彼自体がそのものになる。