ヴァレリー、特に海邊の墓地から感じられるのは彼の底知れぬ朗らかさ、明るい、生命力、火炎の力にみちている。ダヴィンチの手記を読んだときにも同じ朗らかさを感じた。陰惨な苦悩の影なんてそこにはない。そこには充実の仕事、永遠の少年の無償の飽きることなくいつまでも果てることなく続けられる完全なる遊戯のにおい、陽に焼けて焦げた夏草、情熱のにおいが充溢している。今もどこかでヴァレリーはものを考えカイエを書き続けている。ダヴィンチはキャンパスに向かい続けている。そんな気がする。しかし実際にそうなのだ。太陽は燃えている。燃え続けている。同じ太陽が。遊戯は終わらない。