人形

私は人形
ガラスの瞳は何も見ず
空洞の耳は何も聞かない
虚ろな私は人形
私は何も考えず何も感じない
ただ永久に世界を反映する
何者も裁くことなく
何者にも私は裁かれる
小さな虫でさえ私を噛んで
自由に私を弄ぶことが出来る
反撃の手足を私は持たない
この白く細過ぎる手足は
何も触れず少しも動かない
私は何の願いもなく
如何なるものも愛しはしない
私は愛され憎まれ破壊され
しかし私は何も語らない
私の唇は鉄の糸に結ばれている
この絶対の眠りを覚ます者はない
神の沈黙を模して私は創られた
温度すらない明暗すらない
空無の小部屋で私は創られた
死んだ処女の骨から私は生まれた