認識ではたどり着くことの出来ないこの世界のありのままの真実を映し出す反映、それは非認識であり物である。物はそれ自体意思を持たず何も認識しないが故にこの世界の真実をありのままに反映する鏡である。あらゆる宗教の信仰は素朴な偶像崇拝から巫女やシャーマン、占い、更には十字架、死者、王や英雄、歴史や古典、偶然や運命への信仰に至るまで結局この反映の鏡、物に対する信仰の異名派生型だと言っても過言ではないだろう。現実に生きている人間、認識者意識者の言葉は信仰の対象とはならない。予言者、告げる者はこの現実に於いては死んでいなくてはならない。彼は死んでいるからこそ、つまり物であり鏡であるからこそ純粋にこの世界のありのままの真実、神の声を反映、聞いて話すことが出来る。ジャンヌ・ダルクは火炙りにされる遥か前、既に死んでいたのだ。