2020-11-06 椿 詩と小説 あらゆる生命の 夥しい血を吸って 純白の君は天に生まれる 花のなかの花、雪よ 今日もまた君への純愛が 青い葉のあいだに咲いた 彼ら殉教者の敬虔な唇は 慈愛に満ちた眼差しではなく 身を切り裂く冷たい風を求めて 炎、ただ極点の炎だけが 雪の沈黙にくちづけ出来る あの椿たちはそれを知っていた