椿

あらゆる生命の

夥しい血を吸って

純白の君は天に生まれる 

花のなかの花、雪よ

今日もまた君への純愛が

青い葉のあいだに咲いた

彼ら殉教者の敬虔な唇は

慈愛に満ちた眼差しではなく

身を切り裂く冷たい風を求めて

炎、ただ極点の炎だけが

雪の沈黙にくちづけ出来る

あの椿たちはそれを知っていた